歯科治療のブリッジとはどんな治療法かご存知ですか?
2018年07月09日
日常生活の中で、歯が1本でも欠けてしまうと大変不便を感じるものです。
実際に歯がなくなると、前歯の場合、発音が悪くなったり顔の印象が変わってしまうこともありますし、奥歯の場合、硬いものが噛みにくくなるなど、いろいろな不都合が生まれてきます。
このような場合、歯科医院では失った歯を補う治療を施します。
失った歯の代わりとなる人工歯を入れる治療や、むし歯で損なわれた歯を補修する治療を補綴(ほてつ)治療と呼んでいますが、歯を失った場合には、「義歯(入れ歯)」「ブリッジ」「インプラント」といった方法が一般的です。
最近では「インプラント」がすすめられる場面が増えてきているようですが、厚生労働省の調査(平成28年歯科疾患実態調査)では、「部分入れ歯」や「インプラント」よりも「ブリッジ」を装着している人の割合が高いそうです。
今回は、この「ブリッジ」という歯科治療を詳しく説明することにしましょう。
ブリッジは両隣の歯で失った歯を支える方法
補綴治療とは人工の歯で補う治療のことを指しますが、この方法は大きく分けて取り外しができるものとできないものに分けられます。
具体的には、“自由に取り外しできるもの”の例が「義歯(入れ歯)」、“固定されて取り外せないもの”の例が「インプラント」です。そして、「ブリッジ」も固定されて“取り外せないもの”の一例ということになります。
「ブリッジ」は英語で“橋”のことを指す言葉ですが、この言葉の通り、失った歯の両隣の歯を橋げたにして、間につり橋をかけるようなイメージが一番ピッタリくる治療です。
土台となる両隣の歯にブリッジを接着させるのでしっかり固定され、さらに両隣の歯の感覚が残っているので、ほとんど自分の歯のような感覚でものを噛むことができます。
-ブリッジのメリット
・固定式なのでよく噛め、食感も得やすい
・インプラントに比べて1本当たりの治療費が安価
・外科手術が必要ないのでインプラントよりも身体への負担が少ない
一方、ブリッジにも欠点があります。まず、第一に、ブリッジを支える土台を作るために、両隣の健康な歯を大きく削る必要があります。
これまで3本で支えていた負荷を2本で支えることになるため、土台となる歯は健康でなくてはなりません。
一般的に、ブリッジは土台となる(削る)歯が多ければ多いほど安定しますが、健康な歯を削ることは良いことではありません。
-ブリッジのデメリット
・土台となる健康な歯を削る必要がある
・失った歯が多いと適応できない
・連結部分はフロスを使ったケアが出来ないので、歯間ブラシを使ったケアとなる
ブリッジの治療方法
それでは、ブリッジ治療の流れを確認してみましょう。
1.口の中の型を取ります。この型をもとに石膏模型を作り、作製するブリッジの設計を決めます。
もちろん、両隣の歯が健康であることが条件なので、歯周病でグラグラの歯では適応できません。
2.失った歯の両隣の歯を削り、ブリッジの橋げた(土台)を作製します。
土台としてファイバーもしくは金属のコアを作らなければならないときには、歯の神経を取り除く治療を行う必要があります。
3.ブリッジが完成したら土台に装着し、最終的な噛み合わせの調整を行います。
ブリッジは入れたら終わりではなく、長く快適に使うためにはメンテナンスが欠かせないので、定期検診を受けるようにしましょう。
ブリッジは複数の人工歯がくっついた形をしているので、歯と歯の間を清掃するフロスを通すことができません。
ブリッジにすると人工歯と歯茎の間には汚れが溜まりやすいので、むし歯や歯周病の心配があります。
ブリッジを装着して終わりではなく、定期的な検診を受けて健康な状態を維持することがとても大切です。
また、せっかくブリッジを入れても、土台の少ない無理なブリッジを作ってしまうと長持ちしません。
設計上ブリッジが困難な場合には、義歯(入れ歯)やインプラントをおすすめする場合もあります。
セラミックでブリッジを製作すれば審美性も回復
1本や2本の歯を補う場合、ブリッジの治療は健康保険を適応させることができますが、この場合樹脂(コンポジットレジン)や金属(金銀パラジウム合金)と素材が決まっていて、審美面で問題になることもあります。
一方、自由診療にすれば選べる素材の幅が広がり、より自然な見た目のセラミックを使うことができます。
セラミックは前歯のクラウンなどにも使われている素材で、まわりの歯の色に合わせて自然な色調を再現することができるものです。
当院では自由診療に特化し、審美面や耐久面を考慮して治療内容を提案しています。
詳しくは、当院の補綴治療ページをご参照ください。
ブリッジには健康な歯を削るという問題点もありますが、安定性が高く、噛む力も天然の歯とほとんど変わらないレベルを維持できます。
今回紹介した「ブリッジ」のように、歯を失ってしまってもいろいろな治療法があります。ぜひ当院までご相談いただければと思います。
若林歯科医院 院長 若林潤