Q:マイクロスコープを活用すると、虫歯の再発が起こりにくいと聞きましたが、なぜでしょうか?

マイクロスコープを使用することにより、術野を拡大した状態で歯の状態を見ることが出来ます。
また、マイクロスコープには強力なライト照明装置が付帯しているため、治療ユニットの照明では見えない箇所まで、マイクロスコープのライトは照らしてくれます。
これにより、通常だと見難い箇所の虫歯の取り残しが格段に減ります。そのうえ、歯が拡大された状態で常に見えるので、細かい歯の隅などの処置を精密に行うことが可能になります。
ただし、マイクロスコープは購入してもすぐに使いこなせる訳ではありません。トレーニングが必要になります。そして高価です。これがマイクロスコープが普及しない要因なのかもしれませんね。
Q:マイクロスコープを活用すると、被せ物が綺麗に合うと聞きましたが、なぜでしょうか?

マイクロスコープ下で歯を削る場合、ルーペよりも高倍率で削る部位を見ることが出来、削る面がより『正確かつ繊細』に仕上げることが出来るためです。
被せ物をする縁の部分は、ギザギザな状態よりも、整っている方が作製する技工物のフィット感が良いのです。
併せて大切なことは、型を取る時に、『歯の形を正確に再現する』ことです。これがしっかりと出来ると、歯にとてもフィットした被せ物が完成します。
そのためには、歯科医師と歯科技工士の連携も、とても重要なカギになってきます。
もちろん歯科技工士も、高倍率の顕微鏡を見ながら被せ物を製作しております。
Q:マイクロスコープを活用した場合と活用しない場合の、歯の神経の治療では、どのような仕上がりの違いがあるのでしょうか?

根管治療の際には、根管が閉鎖していて治療器具のアクセスが困難な症例に遭遇することが数多くあります。
特に、大臼歯など根管が複数ある歯に於いては、その頻度が高いように思います。
ルーペ(拡大鏡)を駆使して根管を探してもアクセス出来ないようなケースでは、マイクロスコープを見ながら少しずつ掘り進めて根管の入口にアクセスすることで、根管治療が出来ることが多いです。
逆に、マイクロスコープがないと、その根管の治療を断念しないといけない、もしくは、治療がしっかりと出来ているか不確かな状態で治療を進めるということになるかと思います。
他に、根管の壁に穴が空いているようなケースでも、マイクロスコープがないと精密な作業が困難になってしまいます。
Q:マイクロスコープを活用した場合でも、抜歯が必要なケースはあるのでしょうか?

抜歯はどんな手を使っても、どうにもこうにも残すことが出来ない時の最終手段です。
歯の存続を脅かす原因は色々考えられます。
例えば歯肉縁下、骨縁下まで虫歯が進行してしまい保存治療が困難になったり、歯周ポケットが異常に深くなり根の先まで達してしまったり、また出来たポケットと根の先の病巣とが交通してしまったり、劣化により歯根破折を起こしてしまったり等が挙げられます。
各々の状況に応じて、マイクロスコープを駆使して抜歯を避けられるよう努力しても、抜歯になってしまうケースもあります。
保存するか抜歯になるかの線引きをする時にも、マイクロスコープを活用した診断は有効です。
勿論マイクロスコープでの治療で事なきを得る場合もありますが、残す事が出来ない事もあります。
その判断の精度を上げるためにも、マイクロスコープは重要だと思います。
Q:マイクロスコープで精密に根管治療を行った歯は、どのくらい長持ちするのでしょうか?

歯根の寿命に関しては、一概に何年と断言することは出来ません。
神経を除去したその日から劣化のカウントダウンが始まります。
その歯の寿命を脅かす様々な要素を回避しながら、なるべく長く使うには「精密な根管治療」が必須となります。ただし、それだけではありません。
補綴(被せ物)をする為のコア(土台)、最終の被せ物の噛み合わせのセッティング、その歯の歯肉の状態、その方も夜間の歯軋りの有無、食生活、日々のお手入れ、定期的な検診の受診、などなど色々な要素があるのです。
その要素の一つに、「精密な根管治療」があります。
神経を抜かなければいけないくらい大きな虫歯を作らないように、日々注意して頂くことが一番大切です。