歯周病と全身疾患の関係
歯周病は実は、全身疾患の原因となる怖い病気です。また、歯周病の怖い点は歯が抜け落ちるだけでなく、それによって全身疾患を引き起こす危険性があります。
歯周病は細菌による感染症の一種ですが、歯ぐきの血管から侵入した歯周病菌が血液に乗って全身を駆け回ることで、さまざまな臓器や器官に入り込むことが考えられます。
最近の研究では、歯周病菌が循環器系や代謝系の病気を引き起こしたり、進行させたりするリスクファクター(危険因子)のひとつとなることがわかってきました。
心疾患や心筋梗塞の傾向を持っている人では、心臓発作の発症率が20%アップします。糖尿病の場合も、歯周病菌が糖代謝に大きく影響を及ぼし、血糖コントロールが非常に悪くなることが明らかになっています。また、歯垢で繁殖した細菌が直接、気管に侵入して、肺炎の原因となる細菌の活動を活発化することもわかってきました。
この機会に、歯周病のケアについてしっかり学びましょう。
歯周病と糖尿病の関係(生活習慣病、高血圧、動脈硬化、高脂血症)
高血糖が免疫に及ぼす影響
白血球機能の低下
白血球(好中球)には感染した細菌やウィルスを取り囲んで壊す働きがあります。しかし、血糖値が高い人の場合は、ウィルスを壊す機能が弱まります。
血流の流れが悪いことでの機能低下
糖尿病では、全身の細かい血管や神経を障害する合併症が生じます。毛細血管の血流障害がおきると、全身に十分な酸素が行き渡らなくなります。その結果として組織の酸性化が進み各臓器の機能が悪くなったり、白血球の働きが弱まって感染症に対する免疫抵抗力が低下してしまいます。
「TNF-α(腫瘍壊死因子)」について
腫瘍壊死因子(TNF:Tumor Necrosis Factor)は、腫瘍細胞を壊死させる作用のある物質として発見されたサイトカインです。
その中で炎症性サイトカインの一つであるTNF-αは、血糖を低下させるインスリンの働きに抵抗性をもたらせる作用に関わっています。
つまり、糖尿病患者に歯周病による慢性炎症が起きると、炎症病巣から産生されるTNF-αによりインスリン抵抗性が強まり血糖コントロールが悪くなってしまうのです。
歯周病予防で体全体の健康を
炎症性サイトカインの一つ「TNF-α」はインスリンの働きを妨げます。
そのため、高血糖状態が続いてしまい、血糖コントロールが不良になります。
糖尿病の予防や治療のためにも、定期的な歯周病チェックを受けるようにしましょう!
【監修】
こんどう医院 院長 医学博士 近藤俊彦
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