ジルコニアやEMAXをはじめとしたオールセラミックの特徴とは?
2018年04月02日
むし歯の治療で削った歯を補う治療を補綴(ほてつ)治療と言います。
例えばむし歯を削った痕に銀歯を詰めるのも、失った歯の変わりに入れ歯を装着するのも補綴治療です。
歯の被せ物にはいろいろな材料が使われますが、最近人気が高いのは「オールセラミック」でできたものです。
セラミック製の人工物の歯はクラウンから義歯まで、さまざまなところで見かけることができます。
このセラミックという言葉、実は結構大雑把なくくりで、さらにいろいろな種類に分類できます。
ジルコニアやEMAXというのも、実はセラミックの仲間なのです。
クラウンを作るにしても、どのセラミック材料を使うかで美しさや丈夫さなどが違ってきます。
それでは、補綴治療で使われるさまざまなセラミックの特徴を見てみましょう。
オールセラミックにはどんな種類があるの?
例えば保険診療でクラウンを作成する場合、最も良く使われる素材は金銀パラジウム合金です。
これはいわゆる銀歯ですから、他の歯とは明らかに色が違ってしまいます。
また、金属の影響で次第に歯茎が黒ずんでしまう場合もあり、コンプレックスを抱えている人も少なくないようです。
人によっては金属アレルギーで使用できないという問題も生じます。
-金属を一切使わないのが「オールセラミック」
こうした欠点を改善したものが「オールセラミック」です。
土台に金属を使用するような場合でも、オールセラミックでは、金属の代わりにグラスファイバーの繊維を何重にも束ねて一つの棒状にした特殊樹脂であるファイバーコアを使用し、その上にセラミックの被せ物をします。
セラミックとは簡単に言えば陶磁器のことで、身の回りではお皿や洗面器などに使われている材料です。
お皿のように自然な白色を作ることができ、しかも経年劣化がほとんどないため人工物の歯の材料として人気が高まっています。
もちろんお皿と同じものをそのまま歯科治療に使っているわけではありません。
補綴治療では、セラミックの中でも特別に機能性が高いファインセラミックの仲間が活用されています。
-非常に高い強度を誇る「ジルコニア」
ファインセラミックにもさまざまな種類があり、特性によって使い分けられています。
具体的には、土台となる部分には金属の代わりとなるような丈夫な素材が必要です。
この場所には非常に高い強度を誇る「ジルコニア」が使われます。
ところが、ジルコニアは非常に強い反面、表面の色が単調で天然歯のような透明感を出すのが苦手です。
また、ジルコニアは天然歯と比べて硬すぎるため、長く使っているうちに周りの歯を傷つけてしまうおそれもあります。
こうした問題を解決するため、多くの場合、表面に違う種類のセラミックを盛り付けます。
ジルコニアの上から焼き付けるのは、審美性に優れたポーセレンというセラミックです。
このような2段重ねのクラウンは、使用されているセラミックの名前を取って「ジルコニア・ポーセレン」と呼んでいます。
一方、ポーセレンを盛り付ける高さが確保できなかったり、より高い強度が求められるような箇所で使用したりする場合には、ジルコニア単体で人工物の歯を作成します。
ポーセレンを焼き付けた場合、異なるセラミック同士の境界がもろくなり、欠けやすくなるという問題が発生してしまうのです。
ジルコニア単体で作ったクラウンは「オールジルコニアクラウン」と言い、強度が上がって壊れるリスクを下げることができる反面、若干審美性に劣ってしまいます。
-強化ガラスセラミック単体で作られた「EMAX」
これに対して、主にむし歯を削った部分を補うときに使われるセラミックが「EMAX」です。
EMAXは強化ガラスセラミック単体で作られたオールセラミックの一種で、単体で高い審美性を備えているため、異なる材料の境界がもろくなるという欠点はありません。
しかし、全体としての強度はジルコニアには及ばないため適用範囲が若干狭く、長いブリッジや奥歯のクラウンには適しません。
このように、オールセラミックの人工物の歯はそれぞれのセラミックが持つ特性を上手に活用しながら作られています。
そして、セラミックの特性を反映して、メリット・デメリットをそれぞれ持っています。
従って、人工物の歯の材料は歯の位置や噛み合わせの強さなどを見て、総合的により良いものを選択することになります。
素材の選択はご自身が納得できるかが最も重要
オールセラミックによる補綴治療は質にこだわり日々進化を遂げていますが、必ずメリットとデメリットの両面を抱えています。
実際に選択する前に、しっかりと説明を受けましょう。
その上で、どの素材を選ぶのかを決めるのはあなた自身です。
見た目と機能性にこだわったオールセラミックの人工物の歯は決して安いものではありません。
当院では、審美性を保ちながらできるだけ長く満足して使って欲しいという思いからオールセラミックを使った補綴治療を行っています。
納得して治療を終えられるように、自分のニーズがどこにあるのかを見極めることが大切です。
豊島区目白でマイクロスコープを導入し、精密な治療を行う当院では、金属を一切使用しないメタルフリー治療に力を入れております。
詳しくお知りになりたい方は、当院のメタルフリー治療ページをご参照ください。
若林歯科医院 院長 若林潤